夕食の煮物を作ろうとして、レシピを見たら「みりん大さじ2」。
棚を開けてみたら、みりんのボトルは空っぽ、買い置きもない。
「砂糖を多めに入れればいいかな」「子どもも食べるけどアルコールは大丈夫?」と、慌ててしまうことは少なくありません。
みりんは甘みだけでなく、照りやコク、食材の臭み消しなど、いくつもの役割を担う調味料です。
そのため、何でどう代用するかによって、仕上がりや安全面が変わります。
この記事では、みりんの基本的な特徴から、手元にある調味料で代用するときの考え方、アルコールを避けたい場合の工夫まで、家庭で実践しやすい形でまとめていきます。
・みりんの種類と特徴を押さえたうえで代用の考え方がわかる
・砂糖や酒など手元の調味料でみりんを代用するときの基本パターンがわかる
・アルコールを控えたいときの代用アイデアと注意点がわかる
・保存や衛生面で気をつけたいポイントとよくある疑問への答えがわかる
みりんを代用するときに知っておきたい基本
みりんを代用するときは、まず「みりんが料理の中でどんな役割をしているのか」を知ることが近道になります。
甘みだけを足せばよい場合もあれば、アルコールの働きや照りを別の方法で補う必要がある場合もあります。
ここでは、みりんの基礎知識と、代用できる場面・避けたほうがよい場面を整理していきます。
みりんとはどんな調味料かを押さえる
みりんは、米や米こうじに焼酎やアルコールを加えて造られる、甘みと香りのある調味料です。
米のでんぷんが分解されて生まれる糖分と、こうじ由来のうまみ成分が多く含まれており、料理にコクとまろやかな甘さを加えます。
公的な資料では、みりんは酒税法上の「酒類」に含まれる飲料として扱われています。
アルコール分が1度以上の飲料を酒類と定めており、この中にみりんも含まれるためです(出典:国税庁公式サイト)。
みりんの主な役割は、甘みをつけることだけではありません。
加熱すると表面に照りが出て、煮物や照り焼きの見た目をよくしてくれます。
さらに、アルコールには、魚や肉の臭みを和らげる働きや、味をまとめる効果もあります(出典:日の出みりん公式サイト)。
例えば、ブリの照り焼きでは、みりんを入れることで表面にツヤが出て、甘じょっぱいタレがからみやすくなります。
筑前煮のような煮物では、みりんによって角のとれた甘さになり、具材の臭みも感じにくくなります。
一方で、サラダのドレッシングなど「加熱しない料理」に使うと、アルコールの風味を強く感じることがあります。
このように、同じ「みりん」でも、料理によって必要な役割が少しずつ違うことを意識しておくと、代用を考えやすくなります。
本みりん・みりん風調味料・みりんタイプの違い
一般に「みりん」と呼ばれていても、売り場にはいくつかの種類があります。
代表的なのは「本みりん」「みりん風調味料」「みりんタイプ(発酵調味料など)」の三つです。
ラベルの表示をよく見ると、それぞれ性質が異なります。
本みりんは、米や米こうじに焼酎またはアルコールを加えて醸造したもので、糖分とアルコール分がしっかり含まれます。
国税庁の資料では、現在の本みりんは糖分が多く、アルコール分も一定以上含む酒類調味料として説明されています(出典:国税庁公式サイト)。
一方、みりん風調味料は、ブドウ糖や水あめ、うまみ調味料などをブレンドしたもので、アルコール分は1%未満とされています(出典:国税庁公式サイト)。
「風」という名前のとおり、香りや甘さを似せた調味料で、アルコールの働きはほとんど期待できません。
みりんタイプ(発酵調味料など)は、みりんに塩を加えるなどして、そのまま飲めないようにした調味料です。
塩分が含まれるため、レシピの「塩分量」を考えるときには注意が必要です。
例えば、同じ量をみりんタイプで代用すると、レシピ通りに塩を入れたときより味がしょっぱく感じられることがあります。
買い物の場面を想像してみると、「安いから」とみりん風調味料を選んだ結果、煮物の臭みがあまり取れず、「レシピ通りなのに何か違う」と感じるケースもあります。
みりんを代用したいときは、手元にあるのが本みりんなのか、みりん風調味料なのか、みりんタイプなのかを確認することが最初の一歩になります。
みりんを代用できる場面とできない場面
みりんを代用しやすいかどうかは、「どんな役割で入れているか」で変わります。
おおまかには、次のような考え方をしておくと判断しやすくなります。
まず、煮物や煮魚、照り焼きなど、しっかり加熱する料理で「甘みと照り」を足したいときは、比較的代用しやすい場面です。
この場合、甘みは砂糖やはちみつなどで補い、照りは少し長めに煮詰める、片栗粉でとろみをつけるなど、他の方法でも近づけることができます。
一方、アルコールによる臭み消しが大きな目的になっている場合は、代用の自由度が下がります。
例えば、魚の煮付けや肉の下味で、酒や本みりんのアルコールが生臭さを和らげる役割を担っているときです。
ここで砂糖だけに置き換えると、甘さは出ても臭みが残り、「甘いのに食べにくい」と感じることがあります。
また、加熱しない料理や、火を通しても短時間でアルコールがあまり飛ばない料理では、アルコール分そのものが気になる場合があります。
子どもや妊娠中の人、アルコールに弱い人が食べる場合は、アルコールの影響が個人差によって変わるため、少量でも気になることがあります。
家族の中で「お酒の香りが苦手」「運転前なので気になる」という人がいる場合は、アルコールを含まない代用品を選ぶ方が安心です。
よく見かける例として、
「みりんを切らしたから、砂糖としょうゆだけでいい?」
「照り焼きなら、酒と砂糖でなんとかなるよ」
といった会話があります。
このようなときは、レシピ通りの風味を完全に再現するのは難しいものの、目的を「甘みをつける」「照りを出す」のどちらに重きを置くかを決めると、代用品の選び方が整理しやすくなります。
みりんを代用するときの衛生・保存と表示の基本
みりんを代用するときは、味だけでなく、保存や衛生面にも目を向ける必要があります。
とくに、自分で「みりん代わりの合わせ調味料」を作っておく場合は、どのくらい保存できるかを安全側で考えることが大切です。
食品のパッケージには「消費期限」か「賞味期限」のどちらかが表示されています。
農林水産省では、消費期限は安全に食べられる期限、賞味期限はおいしく食べられる期限と説明しています(出典:農林水産省公式サイト)。
どちらも、未開封で表示どおりの保存方法を守った場合の目安であり、開封後は期限にかかわらず、早めに使い切ることが勧められています。
みりんやみりん風調味料も、開封前は常温保存可能なものが多いですが、開封後は「冷暗所」や「冷蔵庫で保存」と表示されていることがあります。
みりん代わりに酒と砂糖を混ぜたものは、市販品とは違い、防腐目的の添加物などが入っていないため、長期保存には向きません。
清潔な保存容器に移し、冷蔵庫で保管し、数日以内を目安に使い切ると安全です。
衛生面では、みりんに限らず、調味料を扱うときも基本は同じです。
家庭での食中毒予防のポイントとして、手洗いや十分な加熱、調理済みの食品を室温に長時間置かないことなどが挙げられています(出典:厚生労働省公式サイト)。
みりん代わりの合わせ調味料を、肉や魚の下味に使ったあとの液体を再利用することは避けましょう。
生の肉や魚が触れた調味液には、食中毒の原因となる微生物が含まれている可能性があり、再加熱しても完全に安全とは言い切れない場合があるためです。
みりんを代用するときの具体レシピと疑問解消
ここからは、みりんが手元にないとき、あるいはアルコールを控えたいときに、実際にどのように代用すればよいかを詳しく見ていきます。
料理の種類や家族の好み、体質に合わせて、複数の選択肢から選べるように整理しておくと、日々の献立づくりがぐっと楽になります。
「この料理ではここまで代用しても大丈夫」「ここは本みりんを使ったほうがよい」といった判断材料として、参考にしてみてください。
砂糖と酒・料理酒でみりんを代用するコツ
本みりんに近い仕上がりを目指したいとき、よく使われるのが「酒(または料理酒)+砂糖」で代用する方法です。
みりんの甘みとアルコールの両方を、手元にある調味料である程度再現できます。
基本的な考え方としては、
「甘み → 砂糖などの甘味料で補う」
「アルコール → 酒や料理酒で補う」
というイメージです。
例えば、レシピに「みりん大さじ1」と書かれている場合、同量の酒を入れ、そこに少量の砂糖を足すと、甘みと風味の両方を近づけやすくなります。
砂糖の量は、酒大さじ1に対して小さじ数分の範囲で、味見をしながら少しずつ加えると失敗が少なくなります。
会話の例として、
「みりんを切らしちゃったけど、煮物どうしよう」
「酒と砂糖があるなら、とりあえず酒を同じ量入れて、砂糖は少なめから様子を見てみよう」
というやり取りがよくあります。
このとき、最初から砂糖を入れすぎると、しょっぱさとのバランスが崩れがちです。
甘さは後から足す方が調整しやすいため、控えめスタートが安心です。
また、料理酒には塩分が含まれているものが多い点にも注意が必要です。
レシピより多めに料理酒を使って代用した場合、レシピ通りの塩やしょうゆを入れると、全体として塩辛くなりやすくなります。
料理酒で代用するときは、味見をしながら、最後のしょうゆや塩を少し減らして調整するとよいでしょう。
火の入れ方もポイントです。
煮物の場合は、酒やみりんを入れた後、いったん全体がしっかり沸騰するまで加熱し、そこから弱火で煮含めていきます。
アルコールの香りが強く残っていると感じるときは、ふたを開けて少し長めに煮ると、香りが和らぎやすくなります。
ただし、アルコールが完全にゼロになるとは限らないため、アルコールに特に敏感な人が食べる場合は注意が必要です。
みりんを使わない甘みのつけ方と相性の良い調味料
みりんを代用するとき、「どうしても酒を使いたくない」「家にアルコールがない」という場面もあります。
この場合は、甘みを他の調味料で補い、照りやコクは別の工夫で近づけるという考え方になります。
よく使われるのは、砂糖、はちみつ、みりん風調味料、シロップ類などです。
砂糖だけで甘みを足すと、直線的な甘さになりやすいので、だし、しょうゆ、酢などと組み合わせて味に奥行きを出します。
例えば、肉じゃがの味付けでは、砂糖を控えめに入れたあと、しょうゆを何回かに分けて加えると、甘じょっぱさの調整がしやすくなります。
照りを出したいときは、煮汁を少し煮詰めてとろみをつけたり、水溶き片栗粉を最後に加えたりする方法があります。
みりんによる自然な照りとは少し質感が変わりますが、「ツヤのあるおかず」に仕上げるという点では十分役立ちます。
例えば、鶏の照り焼きでみりんを使わない場合、砂糖としょうゆで味を整えたあと、最後に片栗粉少量を加えてとろみをつけると、艶のあるたれがからみやすくなります。
はちみつやシロップを使う場合は、焦げやすくなる点に注意が必要です。
甘味料を入れすぎると、表面だけ早く色付き、中まで火が通りにくいことがあります。
火加減を中火から弱火寄りにし、様子を見ながら加熱するようにしましょう。
また、味の相性も大事です。
和風の煮物では、砂糖+しょうゆ+だしの組み合わせが定番ですが、酢の物や南蛮漬けのような料理では、砂糖+酢+しょうゆのバランスがポイントになります。
みりんを使わないことで、かえって「甘さ控えめでさっぱりした味」が好みの人には食べやすくなる場合もあります。
みりんを代用するときは、元のレシピをそのまま再現しようとするより、「自分や家族の好みに合う味」を探るつもりで調整していくと失敗が少なくなります。
アルコールを控えたいときの安心なみりん代用アイデア
子どもや妊娠中の人、アルコールに弱い人がいる家庭では、「アルコールをなるべく避けたい」というニーズもあります。
みりんは酒税法上の酒類に含まれるため、アルコールに敏感な人がいる場合には配慮が必要です(出典:国税庁公式サイト)。
アルコールを控えたい場合の選択肢としては、次のようなものがあります。
まず、みりん風調味料を使う方法です。
みりん風調味料はアルコール分が1%未満とされており、加熱せずに使うことも多い調味料です(出典:国税庁公式サイト)。
ただし、商品ごとに風味や甘さが異なるため、最初は少なめに使い、味を見ながら調整すると安心です。
次に、酒を使わずに砂糖やはちみつだけで甘みをつける方法があります。
煮物や炒め物では、しょうゆやだしの風味である程度のコクを補うことができます。
例えば、子ども向けの肉じゃがでは、酒を使わずに、だしをやや多め、砂糖としょうゆで調整することで、甘めで食べやすい味になります。
アルコールを極力避けたい場面で、「しっかり煮ればアルコールは必ずゼロになる」と考えるのは誤解になりやすい点です。
加熱によってアルコールは減少しますが、火加減や煮る時間、鍋の形状などによって残る量が変わるとされています。
体質や健康状態によって許容量は大きく異なるため、少しでも不安がある場合は、アルコールを含まない代用案を選ぶほうが安全です。
アレルギー体質の人や、特定の持病で食事に制限がある人、妊娠中・授乳中の人などは、とくに個別の事情によって適切な判断が変わります。
そのような場合は、一般的な情報だけで判断せず、医師や管理栄養士などの専門家に相談することが望ましいとされています。
みりんの代用についても、「どの程度なら大丈夫か」を一律に決めるのではなく、その人の体調や生活状況を踏まえて慎重に選ぶことが大切です。
みりんを代用するときによくある質問
みりんの代用については、日常の中で似たような疑問が繰り返し出てきます。
ここでは、よくある質問をいくつか取り上げ、一般的な考え方をまとめます。
一つ目は、「砂糖だけでみりんの代わりになりますか」という質問です。
甘みをつけるだけが目的であれば、砂糖だけで代用できる場面も多くあります。
ただし、照りやコク、臭み消しといったみりんの役割まですべて補うことは難しいため、「甘さを足す代用」と割り切って使うとよいでしょう。
二つ目は、「みりんを使わないほうが日持ちしますか」という疑問です。
みりんにはアルコールや糖分が含まれるため、一定の保存性に寄与すると考えられますが、家庭料理では保存性を期待してみりんを増やすよりも、冷蔵保存や早めに食べ切ることのほうが安全面では重要です。
消費期限や賞味期限は未開封を前提とした表示であり、作り置きのおかずには当てはまらない点にも気をつける必要があります(出典:農林水産省公式サイト)。
三つ目は、「レシピに本みりんとあるところを、みりん風調味料に変えてもよいですか」という質問です。
甘みや香りをつける目的であれば、量を少し減らしつつ、味を見ながら調整することで代用しやすい場合が多いです。
一方、魚の煮付けなど、アルコールの臭み消し効果を生かしたい料理では、みりん風調味料だけでは物足りないことがあり、酒を少量組み合わせるなどの工夫が必要になることがあります。
最後に、「子どもの料理に本みりんを使ってもよいですか」という不安もよく聞かれます。
一般的には、よく加熱してアルコール分を減らすことで、大人と同じ料理を食べるケースもありますが、年齢や体質によって適切な判断は変わります。
アルコールに敏感な体質の子どもや、体調がすぐれないときなどは、アルコールの少ない代用案を選ぶか、専門家に相談したうえで判断するのが安心です。
みりんを代用するときのポイントまとめ
・みりんは甘みだけでなく照りやコク臭み消しにも役立つ調味料
・本みりんみりん風調味料みりんタイプではアルコールや塩分の性質が違う
・みりんを代用するときは甘み照り臭み消しのどれを重視するかを決める
・煮物や照り焼きなど加熱する料理は砂糖と酒で代用しやすい
・酒と砂糖で代用するときは砂糖を少なめから加え味見しながら調整する
・アルコールを控えたいときはみりん風調味料や砂糖だけの甘み付けも選択肢になる
・みりん代わりの合わせ調味料は清潔な容器に入れ冷蔵保存し早めに使い切る
・肉や魚の下味に使った調味液は再利用せず衛生面を優先して捨てる
・消費期限と賞味期限は未開封前提で開封後や手作り調味料には当てはまらない
・料理酒で代用するときは塩分が追加されるためしょうゆや塩を控えめにする
・はちみつやシロップで代用すると焦げやすいので火加減を弱めに調整する
・みりんを使わないことで甘さ控えめでさっぱりした味を楽しめる場合もある
・子どもや妊娠中の人アルコールに弱い人にはアルコールを含まない代用案を優先する
・体質や持病がある場合のみりんや代用品の扱いは医師や管理栄養士に相談して判断する
・みりんを代用するときはレシピを完全再現しようとしすぎず家庭の好みに合わせて調整する
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